Laizthem
I eat the cake.
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     無関係ってのはさ、別に悪いことじゃないと思うよ。

    「こんにちは」
     そんな、元気な挨拶をされた。ぼくにそんな元気な挨拶をかけてくれるような女の子は、記憶にある限りは居ないはずなのだが、しかし、実際にこうして目の前に現れると幻ではないかと疑ってしまうのは詮無いことだ。
     しかし、記憶に無い、といったが、しかし、記憶に無いのは“ぼくにそんな元気な挨拶をかけてくれるような女の子”であって、その子自体には見覚えがあった。
     いや、ぼくの記憶力なんて当てにならないことは百も五百もその三乗もその惨状も承知なので、やっぱり見覚えの無い子なのかもしれないし、全然知らない子だという線もなくはないのだが。
    「奇遇だね」
     そう語りかけてきたということは、少なくとも見覚えのある少女で間違いは無いようだ。しかし、ぼくは彼女を何処で見た? 何時知り合った?
     年齢が上がるにつれ、学校が進むにつれ、ぼくの人間関係は目を見張る速さで衰退して行ったことを考えると、大学時代の知り合いという線はないだろう。流石に今通っている大学の知り合いくらいは覚えているし。
     ならば高校以下の知り合いということになるのだが、高校時代を鑑みれば果てさてこんな子はいただろうか?
     こんなぼくにだって何時の時代も女の子の知り合いくらいいたが、しかしそれは本当に知り合いの域を出ず、友達とすら呼べないようなそんな“クラスメイトその一”くらいの関係しかない。もっともそれは男の子に関してだって90%くらい言えるのだけれども。
     だから中学高校どっちの知り合いかなんて、絶望的なまでに解らない。ちなみに小学校はそっくりそのままの児童が同じ中学校の生徒になるので、小学校の知り合いも中学校の知り合いも殆ど一緒だ。違いは転校生転入生くらいだが、誰が転校して行って誰が転入してきたかなんて、しかもそれが何時のことかなんて覚えているはずも無いので、やっぱり小学校の知り合いも中学校の知り合いも殆ど一緒で違いは無いと言えるだろう。
     ……まぁ、誰でもいいか。会話をしていくうちに誰か解るだろうと、実際この後会話を続けてくれるかどうかも解らないのにそんな希望的観測をしていたら。
    「今は街の方で一人暮らししてるけど、今度また村の方に戻ってくるんだ」
     そんなことを言ってきた。どうやら有り難いことにぼくとこのまま会話を続けるつもりらしい。しかし、ぼくの方はもうそんなことをするまでもなく、疑問が解決してしまった。
     村に戻ってくる。同郷。つまり、中学時代の知り合いということか。
     成程そういわれてみれば中学時代にこの顔を見た気がしないでもないし、高校入ってからこの顔を見た気がしないような気がする。いやまぁ思い込みでしかないんだけど、多分、同郷らしいから中学時代の知り合いで間違ってはいないだろう。
     反則で中学も高校も同じ知り合いという線も考えられなくはなかったが、まぁ、どっちにしたところで中学時代の知り合いということには違いは無い。
     ……ということは、ひょっとしたら成人式の日に会っているのかも知れない。いや、記憶に無いけど、というかそもそもぼく自身が誰と一緒だったのかすら覚えてないけど、ひょっとしたらその覚えていない中の一人にいたのかもしれない。
     しかし、まぁ、そんなのはどっちでもいいか。成人式自体良い思い出は無いのだから。…まぁ、悪い思い出も無いけど。極々普通の成人式だった。いやまぁ他の成人式を知らないのでアレが普通だったかどうかは知らないけど。普通成人式なんて一回しか出れないから、比べようがないし。
     でも、いや、だから、ぼくにとって成人式なんて比較的どうでも良い部類に入るものだった。昔の知り合いと会ったって、所詮お互いの存在を知っている程度の関係でしかないのだ。久しぶりに会っても何も感慨深くない。
     だから、どうでもいい。
     しかし、何でもない日、特別でも何でもない日に、全く予期せぬ場所で昔の知り合いに会うというのは、少しだけ運命的なものを感じないでもない。いくら一年の内には特別な日よりも特別じゃない日の方が多いといったところで、そんな揚げ足を取ったことろで、ギャグみたいな屁理屈をのたもうたところで、これは感覚的な問題なのだ。これは感情的な問題なのだ。運命を感じること自体に悪いということはないだろう。
     まぁ流石に宿命は感じなかったけれども。

     そしてぼくらは、他愛も無い会話を始めた。
     そしてぼくは、他愛も無い会話を楽しんだ。
     惜しむらくは、全く中学時代に戻った感覚になれなかったことだが、それはぼくと彼女は仲が良いわけでもなく悪いわけでもない、良くなる可能性も悪くなる危険性も無い、互いが互いの存在を知っているだけの関係だったのだから、それは仕方の無いことだけれども。

     そして、束の間の楽しさを錯覚し、それぞれがそれぞれの家路に着くために、ぼくと彼女は別れた。
     別に、名残惜しくは無かった。だって、その程度の関係でしかないのだから。ひょっとしたらこれが、女っ気の無いぼくに齎された最後のチャンスだったのかもしれないけれども。
     ぼくは、名残惜しむことは無かった。
     でも、楽しかったのは、嘘じゃない。
     でも、嬉しかったのも、嘘じゃない。
     だから、彼女が、今日だけでも、ぼくのことを想ってくれたなら、考えてくれたならと、そう願いことくらいは、良いよね。

     お互いが楽しかったのならば。
     お互いが嬉しかったのならば。
     お互いが想いあったのならば。
     お互いが考えあったのならば。
     お互いの存在を知っている程度の関係は、零の関係は、少しくらいは、プラスのベクトルに動いたのかもしれない。

     そんな、後ろ向きな様で前向きとはいえないかもしれないことを思いながら、でも、何故か暖かい気持ちで、ぼくは、家路に着いた。



今日の出来事を、バカみたいに美化してみた。
事実なのは、存在を知っている程度の知り合いに偶然会ったということと、その子のことをぼくはめがっさ忘れていたという点くらい。

…というか、過去最高に、あるいは最低に痛い記事を書いてしまったが、まぁいいや。
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